気持ちデータの観察考察

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「IT社長の世代別マップ」を自分なりに整理してみた “ゾゾタウン前澤社長は第4世代である” (IT起業家の年齢分析)

最近急激にゾゾタウンの前澤社長が注目を集めているが(紗栄子よりも剛力のほうが知名度が高いというのもよくわかったが)、なんだかひと昔前のIT企業家ブームのときに想像されてた“成金社長っぽいイメージそのまま”で、ちょっと笑っちゃうところはあるが、それも自覚的なブランディングなのだろうと思う。

1、IT社長を“世代マップ”するとこうなる

ひとくくりに「IT起業家社長」といっても、もう90年代から数えると何世代目かになる。
僕なりに勝手に、この“IT起業家社長の世代構造”を頭の中で描いて区切っているが、前澤社長はその世代でいうと、第4世代にあたる。

頭の中にあるこの「IT起業家社長の世代マップ」を可視化してみると、こうだ。

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第1世代は、インターネット以前。(〜1995)
第2世代は、インターネット草創期。(2000年前後)
第3世代は、PCブラウザ隆盛期。(〜2010年)
第4世代は、モバイルアプリ隆盛期。(2015年前後)
そして第5世代に続く感じ。
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“世代”といっても、この切り方だと、世に出てきたタイミング(つまり事業が成功して一定の規模を獲得したタイミング)で世代をくくっている形式なので、“実年齢”でみるとまちまちには区分されることになる。

2、各世代の“代表的IT社長”とは

各世代の区分にいる「代表的な人物」の下記にまとめてみた。
「登場した世代」とその人物たちの「実年齢の世代」がどんな相関関係にあるのかを見たるために、“誕生年”を軸にして整理してみる。


◆第1世代「インターネット以前」(〜1995)

「OS」の時代、もしくは「ハードウェア」の時代といえる。

日本だと、孫正義(ソフトバンク)が1957年生まれ。
アメリカだと、スティーブ・ジョブズ(アップル)が1955年生まれ。
ビル・ゲイツ(マイクロソフト)も1955年生まれ。


◆第2世代「インターネット草創期」(2000年前後)

この世代は、フロンティアとして“立ち上がりまもないインターネット事業に挑戦してみよう”とチャレンジャーとして踏みこんだ世代。ネットバブル時代とも重なる。代表的な人を挙げると、

三木谷浩史が1965年生まれ。
堀江貴文が1972年生まれ。
藤田晋が1973年生まれ。
夏野剛が1965年生まれ。

アメリカだと、
ジェフ・ベゾスが1965年生まれ。
ラリー・ペイジが1973年生まれ。
ペイパルマフィアとして出てきたメンバーもこの世代。
イーロン・マスクが1971年生まれ。
ピーター・ティールが1967年生まれ。

この世代は、ざっくりいうと70年前後生まれといえるが、他の仕事を経験した上で企業したタイプの三木谷やベゾスもいるので、すでに実年齢はばらばら。


◆第3世代「PCブラウザ隆盛期」(〜2010年)

“PCブラウザ”の上で動くアプリケーションビジネスが中心の世代。
生活者に「家に帰ってパソコンの前に座る」という習慣があった時代だが、すでに一昔前の感覚が強い。スマホが存在しないんだからそうするしかなかったのだが。

ドワンゴの川上量生が1968年生まれ。
ミクシィの笠原健治が1975年生まれ。
グリーの田中良和が1977年生まれ。

シリコンバレーでいうと、フェイスブックがうまれる。
マーク・ザッカーバーグが1984年生まれ。

このあたりから70年代後半生まれの世代がでてきたなという感じ。


◆第4世代「モバイルアプリ隆盛期」(2015年前後)

ジョブズによってスマホが登場し、“モバイル”の上で動くアプリのビジネスが中心に。
まだ歴史になってない世代なのでだれをピックアップするかは好みによるが、

メルカリの山田進太郎が1977年生まれ。
マネーフォワードの辻 庸介が1976年生まれ。
LINEの森川亮が1967年生まれ。
ここにゾゾタウンの前澤友作も含まれるが、彼が1975年生まれ。

アメリカだと、
スナップチャットのエヴァン・スピーゲルは1990年生まれ。


ここまでくると1975年前後生まれが中心になってくる感じ。

 

3、IT社長の“年齢”分析をすると

前澤友作が1975年であるが、今回はここに“基準”におくと、
同世代の『1975年前後』には山田進太郎や辻 庸介がいる。
おおよそ“その10歳上”の『1965年前後』に、三木谷浩史とかベゾスがいて、
さらに“その10歳上”の『1955年前後』に、孫正義やジョブズがいる。

年齢層で分析するなら、ちょうどこの“10歳間隔くらい”で整理すると、“ビジネスモデルの変質とそれを担ってきた年齢層”の時間軸が見えやすそうだ。

つまり、こう。

『1955年前後生まれ』がつくったインターネットの土台に、

『1965年前後生まれ』がチャレンジプレイヤーとして参入してプラットフォーム事業を構築し、

『1975年前後生まれ』が専門特化型のアプリビジネス事業を立ち上げ始めた。

といった、“ざっくり構造分析”ができる。

となると、次に生まれる世代は、『1985年前後生まれ』が中心層になるといえる。
たとえば先行的に世にでてきている顔ぶれでいうと、SHOWROOMの前田裕二や、メディアアーティストの落合陽一たちが、ちょうど1985年前後生まれの層といえる。たしかにまた、ちょっと違う空気感を持ち合わせている。

ただ、ここまでの20年間は(注:更新日は18年9月時点)、ハードからソフトへ、ソフトからアプリへ、と、どんどんと“事業をスモールにでも立ち上げやすい方向へ”と技術革新が進む流れであったので、年々起業家が若くしても世にでてきやすい流れがあったとも言えた。

ただ、次の10年は、はたしてどうだろうかとも思う。

次世代の話題の中心になってくるのは、「IoT」や「VR」や「自動運転」や「決済」や「無人店舗」といったテクノロジーを伴う分野ではないかという流れがあるが、これらの技術革新が土台に必要となると、一定の資本力が事業構築にものをいう時代にもなりそうだと感じられる。その場合でも、“若き起業家が、その新世代をリードする時代”になりえるだろうか。そのほうが面白い時代にはなる気がするが。