『日経ビジネス』No.1877 元素が買えないのメモ
(このシリーズは日々の思考メモです、雑誌に配慮し詳しい記事内容説明はなしで個人的感想の記録まで。)
さて「今週のキーワード」は、HISのロボット、インバウンド苦戦、元素の発掘現場、豊田章男のWOW、シンプルさの追求と内外混合チーム、データこそが循環血液、日本語の不利。の7本です。
2017.02.06 No.1877 元素が買えない
①HIS、ロボットで挑む世界市場
→収益性/生産性の課題を考えると、無視できない企業は多いはず。
現状「変なホテル」は稼働8人まで落とせているという実績を持ってホテル業界へ提案できる実践成果の説得力は大きい。
→これは「人の稼働が必要なくなる」ことと等価。軽作業がロボットに奪われる場合、どれだけの雇用が減るのか真剣に考えるタイミングが近づいてきている。
②三越伊勢丹、訪日需要の影続く
→三越銀座店8階に開業した空港型免税店は「初年度133億円目標に対し、売上高44億円、営業損益は20億円の赤字」。大苦戦。あのインバウンド熱の年はなんだったのか?はあらためてきちんと分析したいが、実質たった1年間だったのではないか。となると「乗り遅れた」とかいう次元でもない。
→最近の訪日は関西空港勢が強く「免税処理の利用できる空港が成田と羽田だけに限られるなど使いにくい」。関西がここまでがんばるとは想定外だろう。
→それでもなお「訪日」は2020年オリンピックイヤーに向けて引き続き重要だが、近年のアメリカ・イギリスの動きを見ていると、自国内需の充実にシフトが進んでいる傾向も顕著。
③元素が買えないpart4「Appleの危機感」
→レアメタル研究第一人者の東大岡部徹教授、アップル本社で講義。世界各地の採掘現場は劣悪な労働条件と環境汚染が蔓延。
→元素の取引が武装勢力への資金調達にもつながりやすい。
→アップルなどの大企業は、格好の批判の的になる。「幹部たちの強い危機感をひしひしと感じた」。採掘現場にまで気を配る必要性があるというのも驚きだ。
④豊田章男「カンパニー制導入・EV社内ベンチャーについて」
→意思決定の迅速化。ただし、開発や生産といった機能軸を、カンパニーごとに切り分けることになる。
→「何もやらないと企業はそこで止まる、いろんなことにチャレンジしなければ」「リスクに見えるかもしれないが、私にとってはオポチュニティです」
→「昨日まではこれがいいと思ってやっていても、違っていたらまた変えればいい」。
→「私がこだわっているのは開発者は「Wowと言わせてごらん」ということです。」万能的な一律底上げよりも、1点ワクワクするほどのこだわりが重要。
⑤経営教室:トランジットジェネラルオフィス 中村貞裕社長「時代の先を逆算しブームをつくるには」
→マスコミに取り上げてもらうイメージから逆算し「キャッチコピー」を立てる。キャッチコピーから逆算で「コンセプトをシンプルにつくる」。
(飽和市場なので)ものすごくシンプルでわかりやすくないと、「利用してみたい」とは思ってもらえない。
→シンプルを追求するためなら、多少のウソや、コンセプト自体の加工さえしても良い。
→「開発」とは、このシンプル化とワンセットで、同時遂行すべきことである。
→「具体的なプロジェクトの細部は、社内外のそれぞれの分野の専門家にまかせて、チームで仕事をすることが重要だと思っています」
⑥FT:デジタル化で遅れるドイツ
→世界でユニコーン企業、174社のうち独企業は4社しかない。(CBインサイツ調べ)
(日本はどれくらいはいってるんだろう)
→独の売上高100社のうち、IT企業はたった5社。(アーンスト・アンド・ヤング調べ)
→「しかし工場のネットワークを流れる血液はデータだ。最終的にはその大量の情報を解析する能力のほうが自動化のシステム以上に重要な役割になり得る。」
→「問題は、その大量のデータ解析を押さえるのがドイツ企業なのか、それともgoogleのような企業なのか、という点だ。」
→やっぱりデータ解析の分野って今後の中核をなす部分だから、甘くはない。
⑦「グローバル化」と「ガラパゴス」の矛盾
→googleやAppleやAmazonのグローバルプラットフォームがはいってきて、日本人がそれを採用していくという状況が進むほど、データが国外へと流出し、独自の国内産業が育たなくなる。
→かといって、このグローバル企業の潮流を排斥すると「極東のガラパゴス化」を起こすのは経験済み。スタンダード化に乗れず、高経費・非効率を招く。(ガラパゴス化を成功だったのだと見るのもひとつの見解ではある)
→あいだをとると、「日本企業のプラットフォームをグローバルスタンダードまで押しあげること」が解決策だが、そこまではもう歴史的に不可逆だ。資金的にも追いつかない。(専門業種単位では、メルカリしかりクックパッドしかりリクルートしかり、戦っている)
→日本語という閉じた言語を利用しているのも課題だ。二次産業は唯物な完成品納入でよかったが、IT/IoTは三次産業のサービス業的要素が強く、共通言語性が有利。