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テレビドラマ「カルテット(第1話)」が気になる。

 

テレビドラマ「カルテット」の第1話は、気持ちが高揚するほどおもしろかった。なぜおもしろいんだろう。気になる気になる。(ネタバレあり注意)

「不可逆、とりもどせない時間」を描こうとしている。

物語の中盤に、唐揚げにレモンをかけるか、かけないか、というシーンがある。会話劇がやりとりされたなかに、「レモンをかけるともう拭き取れないじゃないか、元にはもどせないんだよ、不可逆なんだよ」といった台詞がはさまれていた。ごくさりげなく、ユーモアなトーンのシーンで。

でも第1話を見終わってのちのちしてから思う、あのドラマは「不可逆」をとり扱おうとしているのかもしれないな、と。「とりもどせない時間」といったものを描こうとしているのだなと、ふと気がついた。

主要な登場人物であるカルテットを組む4人は4人とも、何らかの影ある過去を抱えている。まだ具体的には語られていないが、少なくとも、幸せとは言えなさそうな、過去。誰かに追われていたり、お金に困っていたり、家族のことを隠したり。特にドラマの中心線にあるのは、松たか子の夫婦生活に関するエピソードだ。

ドラマの奥行きとなるサスペンス感。

もともとこのドラマのシナリオ設定は、よくあるテレビドラマよりも奥行き構造があると思う。

一般的なドラマというと、恋愛ドラマ、医療ドラマ、探偵ドラマ、アクション、サスペンス、コメディと、ジャンルでくくれる要素があると思うが、このドラマはワンテーマでくくりにくい。

たとえば物語のはじまりを一般的な恋愛ドラマのシナリオ設定でつくるとすると、まず、「カルテットを組ませたい」→「でも普通に出会うのもつまらないので、突然偶然出会った人たちで意気投合してカルテットを組むことになる」→「そのメンバーたちのあいだで、気持ちのすれ違いや恋愛のいざこざなどを描いていく」。まあこんな感じでしょう。クリシェ

このドラマは、そこに奥行きを持たせている。

「カルテットのメンバーは突然偶然カラオケボックスでばったりあって意気投合する」→「でもそれは偶然などではなく、3人それぞれがある人物に依頼されたことによる、しくまれた出会いであった」→「カルテットのなかには殺人犯がいるので本性がでるのを待ち、それを暴こうとしている」→「男2人女2人のカルテット、恋愛的要素がちらつくシーンも混じる」。

このように、一般的なシナリオ設定のフリをして、このドラマには強烈なサスペンス要素が物語の主旋律としてねじ込まれている。でもそれはあくまで、音楽劇であり会話劇であるドラマの展開のなかでは全面的には登場せず、物語の背景にいつも、静かにそっとよりそっているだけなのである。曇り空のように。冬の木枯らしのように。

カーテンの影に隠れるように描かれるサスペンス感だが、この物語の本性は、そこが背骨なのである。

4人の役者の会話劇が心地良い。

役者たちがとても魅力的な役を演じていた。それぞれが味のある個性を出し、でもドラマ全体の空気感はうるさくならない調和もあり、見ごたえがあった。上質な演劇をみている雰囲気。長回しの会話劇。気の利いた台詞。リズム。聞いていて心地よい。

冬の軽井沢の、枯れた寒空も美しかった。湖畔での写真撮影。スーパーマーケットの駐車場。

感想メモでした。